すべての電気製品の進化の過程のひとつは,ワイヤレスになるということ。自由になるということ。束縛から解き放たれること。「繋がる」ことを無意識に行うこと。今,ワイヤードへのワイヤレスの扉が開かれる。
米国アップル社は7月21日のマックワールドエキスポ/ニューヨークで,ワイアレスネットワークソリューション「エアポート(AirPort)」を発表した。同時に発表されたiBookは内蔵アンテナを備えており,エアポートカードを装着することで,エアポートベースステーションとの間で,IEEE 802.11b規格をベースに最大11Mbpsのデータ転送速度を実現。最大10台のiBookで1つのエアポートベースステーションを同時に共用でき,最大150フィート離れた場所からでも利用できる。エアポートカードは99ドル,エアポートベースステーションは299ドルでiBookの大量出荷に合わせて出荷される。
マックワールドエキスポ基調講演ネタ第二段(マックに興味がない人もお立ち会いくださいm(_ _)m)。もともと内蔵のアンテナを備えているiBookにエアポートカードを装着することで,ワイヤーを繋ぐことなく,モデムやイーサーネットを利用できるというもの。基調講演ではスティーブ・ジョブズがiBookを持ち運びながら,ネットに接続し,果てはフラフープを持ち出してなににも繋がっていないパソコンがネットに繋がっていることをみせつけた。なんともスマートなPCの姿が,そこに。
もともと,すべてのワイヤーは,醜い。パソコンの裏っ側がきちんと整理整頓されているということはない。それはたくさんのワイヤーのせいだ。他にもウォークマンなどのワイヤーも邪魔臭い。すべてがテレビのリモコンのようにワイヤレスになるのは,ひとつの理想郷である。「繋がる」ことを見ることなく「繋がる」ことができるとき,ワイヤードはちょっとだけ近くなる。「繋がる」ことを感じることなく「繋がる」ことができたなら,ワイヤードはリアルワールドと変わらぬ存在になる。そして,最終的な形態として,人はPCすらも必要なく,すなわちデバイスすらも必要なく,ネットワークすることができるようになる,の,か。ワイヤレスワイヤードの実現が,人間のネットワークを変化させていく。
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